先日、アメリカ同時多発テロの映画「World Trade Center」を
見に行きました。
映画は、2001年のテロ前の懐かしい風景から始まりました。
WTCのコンコースなどは本当に懐かしく、私もよくここでショッピングをしたり、
食事を愉しんだなあと一瞬、様々な過去を思い出しました。
何気ない9月11日の朝でした。
皆、いつもと同じように通勤していました。
私はこの段階で、すでにほとんど限界でした。
あの日のことが強烈に思い出されます。
後から後から涙があふれ、とめることができませんでした。
やがてWTCはグランドゼロへと姿を変えていきます。
周辺では雨のように紙が舞っています。
人が飛び込む姿も見えました。
映画のはずなのに、私にはあの時の煙の臭いをはっきりと感じました。
この映画は、タワービルの瓦礫から奇跡の生還を遂げた2人の警官、
ジョン・マクローリンとウィル・ヒメノの実話にもとづいたお話しです。
でも詳細は、まだ見てない方のために書かないでおきます。
ストーリーの詳細は書きませんが、オリバーストーン監督らしからぬ、
政治色や批判色のない映画でした。
オリバーストーンにはベトナム戦争映画「プラトーン」や大統領暗殺映画「JFK」
などの代表作があり、だからテロリストやホワイトハウスの陰謀などにフォーカスをあてているのかと思いきや、ストレートな
家族愛を描いたものでした。
周りをみると、左からも右からも鼻をすする音が聞こえてきました。
みな、それぞれにあの日を経験しています。
それぞれに苦しく悲しい出来事があったのでしょう。
その後も2回、涙するところがありました。
何よりも怖かったです。
これは恐怖映画ではありませんが、今まで見た、どの恐怖映画よりも恐ろしいと感じました。
現実の恐怖を体験しているからです。
あのときのにおいや空気、人々の表情やその後の不安を知っているからです。
映画を見ている最中、私は何度も奇声を発してしまいました。
泣いたり叫んだり。
おとなしく見入ることのできない1.5時間でした。
ある人は、映画「アルマゲドン」のようだ言っていました。
その人はテロのあった時、NYにはいませんでした。
確かに今から思えば映画のような出来事だったと思います。
でも、このWTCは現実に起こったことです。
当時の映像を久しぶりに見て、私の身体が、あのときのことをはっきりと覚えているのが分かりました。
今まで、ベトナム戦争の映画などを何気なく見ていましたが、当事者はとても直視できなかったことでしょう。
テロから5年が過ぎました。
この映画が昨年であったら私は見に行けなかったと思います。
5年経った今、私はこの事件に一つの区切りをつけたいと思い勇気を振り絞って見に行きました。
見に行って本当によかったと思っています。
でも、まだ見ることができない人たちも大勢いると思います。
今、改めて思います。
テロは戦争です。
この映画を見て再認識しました。
そして戦争の悲惨さを感じました。
改めて、戦争のない世界を祈るばかりです。
映画が終わってから、どうしたと思いますか。
何も考えずにそのまま、WTCへ行って2749人の犠牲者に手をあわせました。
大袈裟ですが、私には命が残っています。
無念にも亡くなられた多くの方々を前に、私は一生懸命生きることを誓いました。
板越ジョージ
「グラウンド・ゼロ 9.11同時多発テロのその後」 扶桑社刊 板越ジョージ著
2002年6月10日発刊 はじめにより
その他ブログ アメリカン★ドリーム編集長日記
http://amedori.exblog.jp/